どういう病気?
脳静脈洞血栓症とは脳の中を流れてきた血液は静脈を通って、最後は心臓に帰ります。
頭の中で、その静脈が最後に集まってくるところに、 静脈が広く太くなった静脈洞(じょうみゃくどう)という特殊な構造をした部分があります。 この部分は、頭の中から外へ出ていくすべての血液の通り道(出口)となっています。 脳静脈洞血栓症とは、この静脈洞を流れる血液が固まってしまい、 血栓を形成し詰まってしまう病気です。 静脈洞がつまってしまいますと、頭の中へ入って来た血液が頭の外に出て行きにくくなります。 すると、頭の中の圧力が上がって(これを頭蓋内圧亢進と言います)頭痛や嘔吐が起こったり、 また脳の静脈自体の圧力が上がって静脈性の脳梗塞を起こしたり、 あるいは静脈の壁が破れて脳出血を起こしたり、さらに、痙攣等を起こしてくることになります。 頭の中にはいくつかの静脈洞がありますが、大脳表面を流れた血液の主な戻り道になり、 頭頂部にあるのが上矢状静脈洞という静脈洞ですが、 その血栓症が最も多く、次いで横静脈洞、海綿静脈洞の血栓症の順で多いと言われています。 妊婦でなるとどう大変?まず、検査です。
脳の血栓を確認するために用いるMRI(MRA)検査は胎児への影響が未知と説明を受けました。 実際に影響があるか分からないが、緊急を要する場合には母体保護の観点から、 利用する、とのことでした。 次に、投薬をしますが、これも問題です。 とりあえず、血栓が出来て意識障害やおう吐などそれっぽい症状を確認したので、 点滴でヘパリン(血液をサラサラにする薬)を投薬することになりました。 点滴で用いるへパリンは、胎児には影響がないそうですが、その後利用することになる、 経口投薬出来るワーファリンという薬は、催奇形性の可能性があるそうで、 妊婦には使用出来ないとのことでした。 ので、治療への選択の余地が少ないのです。 そもそも、脳静脈洞血栓症という病気自体、血栓症の中では少ない部類なのですが、 妊婦となると東京都で2年に1例と言われるほど稀な病気らしく、 原因・対処等について、分かっていないことも多いのだとか。 実際、担当してくれた産婦人科の医師も、 「10年以上産婦人科やってて初めての症例だ」と話してくれました。 |